初心者が学ぶ国際法
I wrote: 2019/04/27
国際法を勉強したので一部を書き留めようと思う。
勉強して印象に残ったことは、国際法は万能ではなくて、より良い国際秩序を作る諸々の制度の1つにすぎないんだなということ。
ざっくり国際法とは
国際法は、主に条約と慣習国際法で成り立っている。つまり国家間のルールであり、国家間で合意した条約は誠実に守らなければいけない。当然、合意していない国家には適用されない。慣習国際法はあらゆる国家は守るべきであるということ。また国際法は国内法(民法など)とは全く異なった法であり、相違点が多いので注意すること。
- 条約は、二国間条約と多数国間条約の2つが存在する。数だけでいえば二国間条約が圧倒的に多い。条約というと◯◯条約みたいに「条約」という名称が入るものってイメージがあるが、必ずしもそうじゃない。条約の他には「協定」、「規定」、「憲章」、「議定書」そして「宣言」などがある。ちなみに、条約そのものを定めた条約というのもある(ウィーン条約法条約)。
- 多数国間条約は、3か国以上が結んだ条約で、締約国が多いほど望ましい。多いほどいいので、条約全体の趣旨や目的におおむね賛成だけども、一部はちょっと無理という国家のために作られたのが、留保という制度。留保は賛成できない箇所を排除したり、変更したりできるもの。ただ、条約によっては留保自体を禁止している条約もある(国連海洋法条約)。留保とは別に、解釈宣言という制度もある。条約の規定を「うちの国はこう解釈する!」と意思表明するもの。個人的に両者の実質的違いはあまりない気がする。
- 慣習国際法はあまり馴染みがない気がする。ざっくりいえば、多くの国家が、必ず守るのは当たり前って具合にそのルールに従って実行してる分野。例を挙げると、世界人権宣言はかなりの部分で慣習国際法だと考えられている。前述したウィーン条約法条約も多くの条文がそう見られている。
- 合意は守らなければならない。これを「合意は拘束する」の原則と呼ぶ。一方で、締約国以外は、その条約上の権利・義務は及ばない(「合意は第三者を害しも益しもしない」の原則)。これらの原則はもとはラテン語から。
- 民法には民法を規定した民法典と呼ばれるものがあるが、国際法にはそれに相当する国際法典は存在しない。国際法の執行を集権的に行う機関がない、国際連合はそのような権限を持っているわけではない。国内裁判所に相当する機関が存在しない。国内裁判所の場合、原告が訴えれば被告の同意なしに裁判が開始されるシステムになっているが、国際司法裁判所、国際刑事裁判所、国際海洋法裁判所などはそうではない。
もし条約を調べたいと思う人は、国際連合に各条約を網羅的に集めたサイトがあるのでチェックしてみてください。また日本が締約した条約は外務省の「条約データ検索」というサイトで調べられます。